2020-09-28

これからの食育・ワークショップのキーワードは「参加型」〜WEB収穫体験はどう構成できる?〜

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「たけたの食べ方編集室」で行った「これからの食育」の勉強会。東京在住、子ども向けワークショップのプロフェッショナル相原里紗さんに、ワークショップ・食育の現状と可能性について話を聞きました。

相原さんへのインタビュー記事の最後となる今回は<これからの食育・ワークショップのキーワードは「参加型」〜WEB収穫体験はどう構成できる?〜>がテーマ。

これからの社会…「ウィズコロナ時代が到来する」可能性が高いこの先に、どんなふうに「食育」を行っていけるのか、行くべきなのか…。一緒に考えていきましょう。

▼第一弾・第二弾はこちら

(1)コロナ下でのワークショップの現状と開催の工夫や条件

(2)リモートでの「WEB食育事業」は可能か?東京に住む「親子」にとっての地方の食育情報の価値を聞く

相原里紗さんってどんな人?

ウィークエンドスクール for kids代表講師早稲田大学国際教養学部卒。企業を経て国家試験で保育士に。地域密着型アウトドア企画「のあそびっこプロジェクト」主宰。保育士目線で親子向けの企画に多数携わる。2児の母。

のあそびっこプロジェクト

ウィークエンドスクールfor kids 監修

WEB収穫体験って、実際楽しくできるの?

−編集室:前回、都市に住む人にとって、地方の食や農と直接つながることの価値がある、特別な情報はいらない、との話がありました。が、それでも、実際WEBでの収穫体験って、楽しいものにできるのかという不安があります。

youtubeなどで、テンポの速い、刺激的なコンテンツにいくらでも触れられるし、芸能人やアイドルなどともSNSを通して擬似的につながるような体験もすることができる。

農地という刺激の少ない場所、農家さんや田舎に住む人という特別感のない存在とつながることに、本当にニーズがあるのか!?楽しんでもらえるのか?(笑)という。

相原さんのワークショップでは「能動的」な要素を大事にしていると聞きました。「能動的」つまり、参加型の要素が強いってことだと思うのですが、私たちもWEB収穫体験では、参加型要素をどこまで盛り込めるかがキモなんじゃないかな〜と思っています。

ぜひ「能動的」「参加型」ワークショップについての話を聞かせてください

「能動的」「参加型」ワークショップ「シンキング☆クッキング」とは?

相原さん:分かりやすいところでいうと、ウィークエンドスクールfor kids という子ども向けのワークショッププログラムで「シンキング☆クッキング」というものを行っています。

シンキング☆クッキングはまちの食堂やカフェの協力で行う、子どもの自主性と自立を促すクッキングの活動です。料理を通して物事を理論立てて考える力や、先を見通して組み立てる力を養うということを目的としています。親にとっては、子どものチカラの観察や、子ども主体の活動の見守り方をみんなで実践するということも重視しています。

そもそも、ウィークエンドスクールは、非認知能力の向上をベースにしたワークショップ群です非認知能力は、幼児期に育むことがその後の人間的に成長に大きな役割を果たすとされ、今注目を浴びる概念です。簡単に言うならば「生きる力」のようなもの。そのワークショップ群の1つが、シンキングクッキングで、料理の上達よりも「好奇心」にフォーカスしているのが大きなポイント。子どもの考える力を育むことを大事にしています。

−編集室:料理のメニューから考えるんですか?

相原さん:メニューは決まってます。そこから考えると、枠がなさすぎて収拾がつかなくなる可能性があるので…。ただ、食材を素材に考えたり、工程についても考えるステップを導入しています。

−編集室:どんな効果を感じますか?

相原さん:子どもに関していうと、好奇心を持って食べ物に接することで、嫌いなものを食べられるってことはもちろんあります。子どもの自己決定の機会が少ないと言われる今、考えてやってみるというチャンス、やったことがなかったことにチャレンジできるということも魅力みたいで、子どもたちがどんどん自分で発信、行動するようになっていきますね。

でも、実は、子どもに対する効果というより、親に対する効果の方が価値が大きいんじゃないかと思ってます正解を、スムーズに間違いなくできるようになることを大切にする価値観が溢れる中、そうではなく、子どもが自主的にやることへの意義を認識する、めずらしいきっかけになります。

頭では、子どもの自主性が大事だと考えるようになっているお父さん、お母さんは増えてきています。でも、実際、学校、習い事、あらゆる場所が「競争」「評価」に満たされていて、ついついそっちの価値観に引っ張られる。

そうじゃなく、子どもが自主的に動いていい「場」を体験して、子どもが自ら選択する力を目にすることで、その価値に気づいて、普段の子どもへの接し方が変わるきっかけとなっていく。それが、すごく大事だと思います。

−編集室:確かにそれはすばらしい。子どもがいるので、どれだけ「競争」「評価」にさらされているのかは感じています。ワークショップや習い事でも「競争に勝つ」「いい評価を得る」ための技術を身につけることを売りにするものがほとんどですからね。

相原さん:でも、これからの不確定な未来を生きるためには、現状の価値観を受け入れて、「競争」「評価」に従うだけではどうにもならないっていうのは目に見えてる。だから、それじゃいけないって考える人たちも、増えてるとは思いますね。

収穫体験のWEBを通したワークショップのポイントは?

−編集室:そんな相原さんから見て、WEBを通した収穫体験ワークショップをするポイントはどんなところにあると思いますか?

相原さん:これはどんなワークショップでもそうなんですが、大切なポイントは「楽しさ」「考える余白」「運営側の目的の明確化」です。

まずは、楽しくなければはじまらない。特に子どもがいる場合はそうですよね。

次に、考える余白。関与できるゆるさというか。伝えたいこと、やって欲しいことがギチギチにあって、参加者をそこに誘導していこうとしているのが見え見えだと、参加してて疲れる

そして、最後に「運営側の目的の明確化」。ワークショップはあらゆる形が可能です。何のためにするのか、参加する側に、大枠何を体験してもらい、どんな効果を狙うのか。これもギチギチに考える必要はないんですが、それがないと、よくわからないワークショップになってしまいます。

−編集室:自治体主催の食育事業のワークショップが、欠けがちな3要素ですね…。「ちゃんとしなきゃ」「これを理解させなきゃ」「やって報告書あげなきゃ」ついつい引っ張られてしまいそう。

相原さん:民間だと、ワークショップの効果を参加者に感じてもらい、売り上げを上げて、継続していくってことへの意識を向けざるを得ないですけどね。

「双方向であること」を大切にする

ー編集部:じゃあ、地方と都市をWEBでつないだワークショップに絞っていうと、ポイントはなんだと思いますか?

相原さん:「双方向であること」だと思います。

都市の人にとって、画面の向こうでワイワイ収穫してるのをみるのはそんなに面白くないですよね。それなら動画でできる。自分が関与する感覚、交流の機会を設けることがポイントです。

ただ結構難しい設定ですね。竹田の畑に、竹田の親子がやってきて収穫体験をしている、それと都市の親子をつなぐ、つまり「都市の親子ー収穫している田舎の親子ー農家」の3者が同時につながるのは、ハードルが高いかもしれません。どうしても、リアルな畑にいる竹田の親子が主役になって、都市の親子はそれを画面で見るという形になる。

もしそれをするならば、東京の親子、竹田親子が一緒に参加しているムードの演出が大事。それぞれが自己紹介し、コメントし、双方向交流できれば面白いんでしょうが。

ー編集部:確かに、WEBの向こうだと、よっぽどうまくやらないと茅の外感が生まれそうですね。

相原さん:なら、畑にいる農家さんと、都市の親子を、たけたの食べ方編集室の人が間に立ってつなぐっていう構造の方がやりやすそうですね。

農家さんが、想いを込めて収穫し「これを届けますよ」という演出。

都会の子どもたちにとってはカボス1つとっても、何も知らない。香りに触れたことがない。それを、クイズ形式で、子どもたちに考えるきっかけを与えて、匂い、音、畑…もちろん実験みたいなことにつなげても面白い。それを農家さんに質問しながら進められたらいいですね。

もちろん、都市の人にとって、収穫体験だけをWEBで体験してもおもしろくない。その後、「モノ」が届き、それを味わうことを共有出来る場の3部構成あればいいですね。

味わう場で言うと、オンラインでつなぎ、みんなで箱をオープン。手触り、香りへのコメント、カットしてみる体験の共有、味わうコメント、何を合わせてみたいか、家の冷蔵庫の中から調味料や食材をそれぞれが持ってきて紹介し合うなど…あらゆる味わい方の可能性がありますね

地方の食の課題解決について共に考えることの可能性は?

ー編集部:最後に、竹田の農業、食に関して言うと、いいことだけじゃなく、高齢化、人口減少、耕作放棄地の増加など問題も山ほどあります。食の魅力を感じてもらったら、可能ならその課題も知ってもらいたい、課題も含めての「食の現実」なんじゃないかなと思うんですが、ともに考える機会をWEBを通して設けることのニーズというか可能性については、どう思いますか?

ー相原さん:ただ、課題を考えることにフォーカスしすぎると「押しつけ」になってしまって、「楽しくない」ってことになってしまいそうですね。しかも、課題解決は、長いスパンでの思考や、正解のない難しさがある

「共に考えられたらいいな」くらいの意識で、ちらりと提示する程度がいいような気がします。ただ、課題を解決すること、考えること、向き合うことが大好きという人もいるので、対象者を限定するなら、ありありだと思います。

開催の規模も、合宿規模だとか、継続的なものにするなどの工夫があるといいかもしれませんね。

ー編集部:たしかに…。やり方次第ってところですね。

感想|「土地のパワーをいただく」という新しいエンターテイメント

ー編集部:最後に、今日の感想をお願いします。

相原さん:WEBを使った収穫体験・食のワークショップは、「土地のパワーをいただく」という新しいエンターテイメントになる気がします。パワーをもらった場所を、第二の田舎のように感じていく…。その田舎に竹田がなったら面白いですよね。小さな町で、それをやろうやろうという人がいるというのがすばらしいし、私自身も訪れてみたくなります。

ー編集部:ぜひ、お待ちしています!!!

読んでくださった皆さん。今後、ワークショップを形にしていくので、見守ってください!!!

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