2018-06-09

料理人として生産者と消費者をつないで"観光振興"

松竹 祐介MATSUTAKE YusukeBistro & Cucina Champi


江戸時代の創建から400年変わらない碁盤の目の町割を残す城下町竹田で、突如現れるフランス国旗。扉を開けるとそこは、竹田で”その時期”に食べることができる野菜やジビエを、フレンチを中心に楽しむことができる”Bistro & Cucina Champi”(ビストロ & クッチーナ シャンピ)、松竹祐介さんがオーナーシェフをつとめるお店です。
 

シャンピに入ってすぐ、カウンターの上には、松竹さんの想いが記されています。


 
福岡県生まれの松竹さんは、小学生の時に竹田市久住町に引っ越して来ました。ご両親は、久住高原で「きのこ2世号」というペンションをなさっています。
松竹さんは、漠然とした未来を描きつつ大学進学を志していた高校生の頃、定期試験当日に交通事故に遭ったことから料理の道に進むことに決め、竹田高校卒業後、大阪の調理師専門学校に通いました。ご両親がなさっているペンション運営を日頃から手伝っていて、料理が身近にありました。また、当時放映されていた料理の”格闘”番組「料理の鉄人」(フジテレビ系列)から、料理人になることへの憧れがありました。
専門学校在学中は、中華料理店やイタリアンでアルバイトをするものの、”非日常性”に惹かれ、フレンチの道を進むことにします。専門学校の海外研修制度等を活用して、専門学校卒業後は1年間フランスに行き、本場での経験を積み、1999年に久住に戻って来ました。
 
フランスから久住に戻り、ご両親がなさるペンションを手伝い10年超が経過した2012年7月、竹田市は厳しい水害に遭います。松竹さんが通った竹田高校がある城下町エリアは、被害が特に大きかったエリアからほど近く、城下町エリアは活気を失っていました。ランチを食べる場所がない。閉まっているお店も多い。
また、松竹さん自身、長年ペンションを手伝う中で、ペンションへの宿泊者だけではなく、もっと多くの人々に料理を食べてもらいたい、という想いが高まっていました。
高校時代を過ごした竹田の町の活性化の一助となりたいという想いと、料理を多くの人々に振る舞いたいというチャレンジ精神とが合わさり、2013年3月に、Bistro & Cucina Champi(ビストロ & クッチーナ シャンピ:”シャンピ”はフランス語で”きのこ”の意)はオープンしました。
 
シャンピで提供される食材は、入手可能な範囲で竹田産にこだわっています。松竹さんが特に力を入れているメニューのひとつは、スープです。コーンやかぼちゃというようなスープの定番食材だけではなく、しいたけや菊芋、ヤーコンといった、竹田産の旬の食材を見つけては、スープにして提供しています。また、料理としてはあまり手をかけず、できる限りシンプルに野菜の美味しさを味わえるように心がけているそうです。
 

“新玉ねぎと新じゃがいものスープ”。
※調達できる食材によりメニューは異なります。


 

前菜。
シャンピでは、竹田市在住作家による器で提供されることも。
写真は、高木逸夫さん作の器です。
※調達できる食材によりメニューは異なります。


 

“なずなの塩のシャーベット”。
器は、竹田市在住作家である甲斐哲哉さん作。
※調達できる食材によりメニューは異なります。


 
松竹さんは、竹田という場所にこだわってお店をかまえています。人口が多くマーケットが大きい大分市や福岡市にお店をかまえるという選択肢があるなかで、「竹田」でお店をかまえる意図は?という問いに、松竹さんは「竹田に店があることを言い訳にしたくない。どこにあっても来店客が来る店にしたい」と答えます。
ジビエをメニューのひとつとするのも、最初から”売り”のひとつとして考えていました。竹田市は、イノシシや鹿といった農作地を荒らす害獣の頭数増加に悩まされています。いただいた命を無駄にせず、竹田に店舗があるから可能な、新鮮なジビエとして提供することで、お客様が「美味しい」と喜んだり、口コミやリピートが起こるサイクルが理想だと語ります。

ジビエランチ。
この日は鹿肉でした。


 
シャンピでは、竹田市外から料理人をゲストとして招聘、竹田市内の生産者にも声をかけてイベントをしています。生産者と料理人を繋げるイベントを松竹さんが行う根底には、生産者と消費者と料理人がつながることが、ひいては竹田の観光振興になることをイメージしているそうです。
竹田市外から料理人を呼ぶのも、「一人でするよりいろいろな話を聞くことができる。異なる技術や知識を持っているので、一緒にすることで相乗効果が生まれる。竹田市外から来る料理人たちにとっても、竹田産の食材を使う機会が増え、生産者と提携し、みんなwin-winになったら」と願いを込めています。

【「農×厨×食」 in 竹田 Level 2 with Tacca & Champi 】(2018年1月23日)のようす。
「Tacca」(大分市)吉川シェフを招いて開催された、2回めとなるコラボ企画のテーマは”竹田の冬野菜”。
農家さんも多く参加され、料理人と生産者、顧客の交流の場となっていました。


 
料理人が、竹田産の食材を美味しく調理することで、竹田産の食材が美味しいことが竹田市内外の人々に伝われば、消費者は、竹田産の食材を買いに竹田に来ます。「今後、竹田の人口がすごく増えるわけではないし、産業があるわけでもない。”他所から人を巻き込む”観光が重要だと思う」と松竹さんは言います。

松竹さんにとっていちばん嬉しいことは、竹田の野菜を何種類も口にしてもらうこと。「『この野菜何ですか?』という質問が嬉しい。料理人にとって、初めて食べたものを『美味しい』と言ってもらえるのが醍醐味」と語ります。

季節ごとに移り変わる竹田で生まれ育った食材たちが、松竹さんの手でいかに美味しく料理されるのか、ぜひ楽しみに、シャンピを訪れてください。
 

プロフィール

 

 

【Bistro & Cucina Champi(ビストロ&クッチーナ シャンピ)】

地元の採れたて野菜や旬の厳選素材をふんだんに使って仕上げた、気軽に楽しめるヘルシーなフレンチイタリアンのビストロ(食堂)です。
豊後牛をはじめ久住高原ハーブ豚の他に地元の鹿、シシ等のジビエと新鮮な野菜を組み合わせた竹田ならではの料理を“タケタジビベジ”と銘打ち、提案と普及をしています。
住所:大分県竹田市大字竹田町416番地
TEL:0974-63-1553
営業時間:ランチ/11:30~14:00 LO、ディナー/17:30~20:30 LO、定休日/水曜日(不定休あり)
HP等:https://champi.on.omisenomikata.jp/

 
■写真撮影(撮影箇所)
阿部珠美(Bistro & Cucina Champi)、川嶋克(松竹さんプロフィール写真、江副直樹さんとの対談)
 
※2017年度アドバイザー・江副直樹さんとの対談企画「竹田の食「マイスター」に聞いてみよう【第1回】たけたの食べ方を考える。トーク【平成29年度】(2018年2月5日開催)」をまとめたものです。

竹田の食「マイスター」に聞いてみよう【第1回】

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